先生の思い出
私が英才教育といわれる趣味ではなくて本格的にピアノを勉強するためのレッスンを始めたのは小学校5年生の夏から。
遅い方です。 早い子は小学校に入ってすぐ始めるし、習い始めから趣味とは違うというスタンスで始める子もいる。
小学5年生からお世話になった先生は、私の祖母と同じぐらいのご年齢の先生でした。
先生は背が高くて、お綺麗で、いつもご自宅でもきちっと素敵な格好をされていました。
ご自宅もとても立派で大きな塀と立派な日本庭園のあるお家で、初めてグランドピアノでのレッスンを毎週受けるようになりました。
桐朋でお世話になった先生も同じようなご年齢で東京の高級住宅地でのレッスンでした。
お二人に共通しているのは、昭和初期のお生まれで、その時代にクラシックという西洋の音楽を本格的に学ばれていらっしゃる。。。
今はセレブなんて言葉がありますが、そんな安っぽい言葉では言い表せない、本当の品と気高さをお持ちになった先生方でした。
先生方の雰囲気は優雅なのですが、眼鏡の奥の瞳はすごく厳しかったです。そして、ピアノのレッスンももちろん厳しかったですし、子ども扱いの一切ないレッスンでした。
小学生でも先生は私のことを”じゅんこちゃん”ではなくて、”絢子さん”、もしくは”あなた(貴女)”と呼ばれて、ご自分の事を”あたくし”とおっしゃられていました。”あたくし”という言い方が自然で、幼心にいつか自分もあたくしという言い方が先生のように似合う大人になりたいと思っていました。
先生方のお宅に共通していたのは、グランドピアノ、壁には素敵な絵画、そしていつも生花が飾られていました。
小学生のうちから、そんな環境で、大人と同じような扱いでレッスンを受ける時間を持てたのは、今思うと、とっても贅沢で貴重な時間だったと思います。
私と先生は孫と祖母ぐらいの年齢の差はあったけれど、クラシック音楽、ピアノという共通の言語を持っていた。
海外に留学した時も、身を持って感じたのですが、芸術、本物の音楽というのは、年齢、性別、国籍、宗教をも超えて人々の心を動かす。
ピアノのレッスンというのはピアノを学ぶだけではありません。ピアノを通して、色々感じたり考えたり経験したりする大切な時間だと思っています。
これを書きながら自分のピアノレッスンについて、また新たに考える良い機会になりました。。。